『塩狩峠』[ かくれんぼ ]362 いちょうの木によって…………

いちょうの木によって信夫は十まで数えて目をあけた。せみが鳴いている。だれも答えない。信夫はそっと足をしのばせて物置小屋を見た。だれもいない。勝手口の方に信夫はそっと歩いて行った。居間の方で菊の声がした。吉川の何かいう声も … 続きを読む 『塩狩峠』[ かくれんぼ ]362 いちょうの木によって…………